フリーランスが「少数の大口顧客に支えられる」リスク

フリーランスという働き方の形態について考えるとき、多くの人が、収入の不安定さをデメリットとしてあげます。

間違いではありませんが、フリーランスにとって「安定=リスク」であることも知っておくべきでしょう。

例えば、そのフリーランスの収入が年間800万円で、そのうちの600万円を1社から得ていたとします。これは一見すると大変ありがたい話です。

ただし、その1社からの収入が途絶えたとき、突如として路頭に迷ってしまいます。

フリーランスにとって理想の状況は、スポット(単発)の仕事が常に舞い込む繁盛店をつくることです。少数の上客に支えられているお店ではなく、店前に行列をつくらせることが肝心です。

もちろん、大口顧客はありがたいものですが、総収入におけるその割合は3割程度に抑えておいたほうが賢明です。

すでにフリーランスとして活動している人は、自分の仕事をリストアップしたうえで、全体の収入における割合も書き出しましょう。

以下は「請負仕事」のみで活動している従来型個人事業主の収入割合例です。

収入の割合(1):すべて請負仕事

・会社Aの定期的仕事(60%)
・会社Bの定期的仕事(15%)
・会社Cの定期的仕事(15%)
・ウェブ媒体Cの定期的仕事(5%)
・スポット(単発)の原稿執筆(5%)

会社Aへの依存率が高く、理想的とは言えません。会社Aの仕事を失ったときの打撃は計り知れません。理想的な収入配分は以下です。

収入の割合(2):すべて請負仕事

・会社Aの定期的仕事(25%)
・会社Bの定期的仕事(10%)
・会社Cの定期的仕事(10%)
・会社Dの定期的仕事(10%)
・ウェブ媒体Aの定期的仕事(10%)
・ウェブ媒体Bの定期的仕事(5%)
・ウェブ媒体Cの定期的仕事(5%)
・ウェブ媒体Dの定期的仕事(5%)
・スポット(単発)の仕事(20%)

収入の入り口が多い分、仕事ロスによる収入減リスクは低めです。スポット(単発)の仕事の割合が多いのは、行列ができている証拠です。

次に営業コンサルタントの例をあげます。
先ほどの例と同様、「(1)」よりも「(2)」のほうが、仕事をロスしたときの収入減リスクが低めです。

収入の割合(1):すべて請負仕事

・A社の顧問契約(50%)
・B社の顧問契約(20%)
・C社の顧問契約(15%)
・D社の顧問契約(15%)

収入の割合(2):すべて請負仕事

・A社の顧問契約(25%)
・B社の顧問契約(20%)
・C社の顧問契約(10%)
・D社の顧問契約(10%)
・E社の顧問契約(10%)
・F社の顧問契約(5%)

一方、新しいフリーランスの場合は、従来型フリーランスと異なり、収入の割合が大きく変化します。

新しいフリーランスの収入の割合

・請負仕事(50%)
・CtoC型サービスの提供(50%)

このように、「請負仕事50%+CtoC型サービスの提供50%」が新しいWフリーランスの収入割合の基本イメージです。「請負仕事」と「CtoC型サービス提供」の内訳は、ケース・バイ・ケースです。

収入源が多いほうがいいケースもあれば、少なくてもOKなケースもあります(後者の例:ひとつのCtoC型サービスが爆発的人気となる場合など)。

もちろんこの先、あなたの市場価値が高まり、ブランドが構築されていけば、「CtoC型サービスの提供」のパーセンテージはどんどん伸びていきます。

かといってその分、忙しくなるということでもありません。なぜならサービス提供で得られる収入は、働いた時間に対して支払われるものではないからです。

世間的には高額と思われるサービスでも、そこに価値を感じてくれる人がいればビジネスとして成立するのです。

フリーランスで年収1000万円以上を稼ぐ人は全体の10%くらいと言われています。請負仕事で稼ぐ従来型フリーランスの場合、年収1000万円に到達すれば、収入面では大成功と言えるでしょう。

一方、CtoC型サービス提供も行う新しいフリーランスの場合、その収入に上限はありません。自身の市場価値が高まれば、その分、ビジネスチャンスも増え、収入も上がっていきます。