フリーランスが積極的に受けるべき仕事

きた仕事はすべて受ける。
報酬の交渉もしない。

腕を磨いているフリーランス1〜3年目であれば、そういう仕事の受け方をしてもいいでしょう。これは、大量の仕事をすることでしか得られない経験値もあるからです。

多種多様な仕事を受けることで、自分の専門性やスキルがどういう場で発揮されやすいのかもわかってきます。つまり、仕事の選球眼が磨かれる、ということです。

「食わず嫌い」は、自分の可能性を下げてしまう恐れもあります。

一方で、「きた仕事をすべて受ける」というスタンスで仕事をし続ければ、いずれ行き詰まる日がきます。事実、少なくない数のフリーランスが、時間に忙殺されて、心身に不調をきたすなどの悲劇に見舞われています。

加えて、似たような仕事ばかりしているため、働いている割に専門性やスキルが伸びていきません。このスパイラルに陥ると、自分の市場価値も思うように高まっていきません。

以下の3つは、「前向きに受けるべき仕事」です。

① 実績になる仕事

その仕事をすることで実績が増え、ブランディング効果が得られる場合、それは「将来につながる仕事」とも言えます。なぜなら、近年、公式サイトやSNSのプロフィール(実績)を見て仕事の依頼をする人が増えているからです。

とくに駆け出しの時期で実績がまだない人は、実績になる仕事を軽視してはいけません。

例えば、あなたのプロフィールに「研修・講演実績多数」と書かれていた場合、多くの人が「ふーん」と読み流すでしょう。具体性を欠いた実績は誰にも刺さりませんし、評価対象にもなりません。

プロフィール欄の実績というのは強力なセールス文章とも言えます。この実績が圧倒的であれば、専門性が高いと思ってもらえますが、貧弱であれば、そこで興味を失う人もいます。実績に載る仕事には、将来への投資効果もあるのです。

実績にならない仕事だけをしていては、自分の可能性が広がっていきません。実績になりそうな仕事があれば、自ら営業をかけるくらいの貪欲さが必要です。

② 自分の価値を買ってくれる仕事

その仕事はあなたにしかできない仕事なのか。それとも、ライバルのフリーランスにもできる仕事なのか。両者の違いは「微差」ではなく「大差」です。

例えば、システム開発からインフラ構築まで高い技術力を誇る「フルスタックエンジニア」のAさんが、多くのエンジニアが書ける単調なコードばかり書き続けているのは「宝の持ち腐れ状態」です。

自身の武器を活かしきれていない現状を認識しつつ、惰性で受けている仕事を少しずつ手放す勇気が必要です。

また、オンライン・オフライン問わず、周囲に自分の武器である高度なコードを書ける旨や、新しい仕組みを提案・開発・実装できることなどをアナウンスしていくことも大切です。

そして、Aさんの能力を買って高度な技術を要するソフトウェアづくりの依頼をしてくる人や、開発プロセスを丸ごと任せてくれる人の仕事は積極的に受けるべきです。

自分の武器を最大限に活かすことで、ハイクオリティな成果物を生み出すことができるはずです。結果を残し続けることで報酬の引き上げも期待できます。

なぜなら、依頼主はAさんに仕事を断られると困るからです(希少性が高く、代えが利かない状態)。このとき依頼主が買っているものはAさんの「時間」ではなく、Aさんの「武器である高度で筋のいいコードを書ける能力」です。

フリーランスの価値を高く買ってくれるクライアントは、そのフリーランスを第三者に紹介してくれる人でもあります。「価値ある物」が世の中で評判になりやすいのと同じで、価値ある武器である専門性やスキルはその業界で評判になりやすいものです。

もちろん、口コミされるためには、あなたが、代えの利かない専門性やスキルを有し、それを仕事という現場で証明していく必要があります。

あるいは、インターネットやSNSを使って、文字や言葉で伝えていかなければいけません。「高い価値×高いデリバリー能力」であなたのブランドがつくられていきます。

③ 進化・成長できる仕事

従来のフリーランスにとって「安定していること」は大きな魅力であり、安心でした。

しかし、今の時代では安定を求めすぎるとリスクが高まります。時代の変化スピードが速すぎるからです。

もしもあなたが「ラクにできる仕事だけしていたい」と思っているとしたら注意が必要です。「できる仕事」しか受けないと、仕事の筋肉がついていきません。現代社会において、進化・成長できない人の未来は明るくありません。

ラクにできる仕事は誰にでもできる仕事です。つまり、あなたは代替可能ということです。

「これまで受けたことのない仕事」
「難しそうな仕事」
「レベルが高い仕事」

そういう仕事こそ積極的に受けていきましょう。今まで使ったことのない筋肉を使うことで、あなたの専門性とスキルが磨かれ、人間としての器も大きくなっていきます。

ハードルが高く感じられるオファーに対して「イエス」と即答し続けられる人は、成功サイクルへと入っていくことができます。