フリーランスの「営業ツール」-名刺の作り方

フリーランスは、自分を最大限にアピールするために、営業先で以下の4つの「営業ツール」を渡せるよう準備しておきましょう。

①名刺
②自分のプロフィール×メディア情報
③ポートフォリオ(作品集)
④サンプル作品

信じられない話ですが、フリーランスの中には、何の営業素材も準備せずに営業先に行く人がいます。本人は「腕に覚えがある」のかもしれませんが、文字情報や視覚情報として渡せなければ「腕がない」のと同じです。

もちろん、口頭でプレゼンする技術は必要です。

しかし、会話の中で示せる情報量には限りがあります。その点、営業ツールは情報量が多く、データ化しておけば使い回すこともできます。

あとから相手が営業ツールを読み返し、こちらの魅力を再発見してくれるケースもあります。
営業ツールが勝手に働いてくれる。なかなかいいと思いませんか?

ここでは、名刺の作り方について説明します。

名刺には興味を引く肩書きをつけよう

会社員時代、おそらくあなたは会社から支給された名刺を使っていたことでしょう。

そこには会社名とあなたの役職が書かれていた。「会社の信用」という傘の下で仕事をしている会社員であれば、その程度のあいさつ代わりの名刺でも事足ります。

一方、フリーランスの名刺は重要な「営業ツール」です。あなたのことを「特別な人」として認知してもらうためのものです。

名刺で最も重要なパーツは「肩書き」です。あなたは以下(1)〜(6)のどの肩書きに興味を持ちますか?

(1)田中一郎
(2)フリーランス・田中一郎
(3)フリーライター・田中一郎
(4)映画ライター・田中一郎
(5)ジブリ映画専門ライター・田中一郎
(6)“ジブリ映画バカ”なライター・田中一郎
おそらく興味を引く順に(6)→(1)ではないでしょうか。

(6)の肩書きが付いた名刺を渡すとき、「“ジブリ映画バカ”なライターの田中一郎です」と口に出してみてください。そのインパクトはなかなかのもの。強く相手の印象に残ることは間違いありません。

一方、(1)〜(3)の名刺を渡しながら「何でも書きますのでよろしくお願いします」と伝えたとしましょう。

相手は、仕事をお願いするどころか、数日後には、あなたのことを忘れているかもしれません。「何でもやります」は「何もできません」と同義だからです。

フリーランスの肩書きは、自分の頭の上に立てる「旗」だと思ってください。

その「旗」が平凡だったり、ぼんやりしていたり、魅力がなかったりすれば、相手に認知されませんし、記憶にも残りません。

認知されなければ、仕事の依頼につながることはないでしょう。

一方で、「旗」が魅力的で際立っていると、相手に強く認知されます。

言葉は思考の着火剤です。

印象的な肩書きであれば、
「この人に何か仕事を任せられないだろうか?」
「この人の強みをうちのメリットにできないだろうか?」
などと脳が自発的に考えはじめるのです。

極端なことを言えば、秀逸な「旗」があれば、それだけで仕事がばんばん入ってくることもあります。

「ジブリ映画バカ」は、その人の「強み」であり「武器」です。ユニークで印象的な「旗」が、その人の頭の上でなびいている状態です。

この旗(武器)があれば、「ジブリ映画」に関連する仕事のみならず、さまざまなジャンルに斬り込んでいくことができます。

「“ジブリ映画バカ”から見た、ディズニーアニメ評」
「ジブリ作品が描く日本の学校教育」
「ジブリ映画と感染症社会」
などなど。

よく「強みを絞ると仕事が取れなくなるのでは?」と心配する人がいますが、それは勘違いです。むしろ、先鋭化させた武器こそが、フリーランスの可能性を広げていくのです。

名刺の肩書きに連動した顔写真を載せよう

フリーランスの名刺には顔写真を入れることをおすすめします。

顔写真がないと、記憶に残りません。顔写真が入っていれば、会ったときの様子をパっと思い浮かべてもらえます。

とはいえ、どんな写真でもいいわけではありません。

顔写真も重要なアピールポイントです。理想は、「肩書き」と「顔写真」を一致させることです。

「“ジブリ映画バカ”なライター」であれば、ジブリ作品のキャラクターのフィギュアを手に持ったり、キャラクターのコスプレをしたりしてもいいでしょう。

フリーのブライダルヘアメイクの場合はどうでしょう。

あなたが女性で結婚を控えていたとしましょう。

顔写真が野暮ったいブライダルヘアメイクにメイクを任せたいと思いますか?

答えは「ノー」でしょう。

仕事の依頼につなげるためには、名刺を渡した瞬間に
「さすが、すてきなメイク!」
「こんな人にメイクしてもらいたい」
と思ってもらう必要があります。

なお、プロフィール写真は、プロのカメラマンに撮ってもらいましょう。

カメラの性能が良くなったとはいえ、素人が撮る写真とプロが撮る写真は、クオリティが格段に違います。

たまに、「平凡なスナップ写真」や「暗い写真」「全身写真(顔が判別できない)」を使う人がいますが、営業ツール用としてはおすすめできません。

なお、公式サイトやSNSには、名刺と同じ顔写真を使います。

露出する顔写真を統一することでブランディングしやすくなるからです。

肩書きと顔写真を一致させつつ戦略的に演出することで、あなたの「旗=武器」を強く印象づけることができます。

「たかが名刺」ではなく、「されど名刺」です。コストをかけてこだわるところです。

名刺の裏面も有効活用する

せっかく相手の手に渡る名刺です。片面だけの情報で終わらせるのはもったいないことです。

名刺の裏面には、以下のような情報を盛り込みます。相手に強く認識してもらいたい情報は表面に載せてもOKです。

(1) プロフィールの簡略版

プロフィールをコンパクトにまとめたものを掲載します。

(2)提供している技術や能力

自分が提供している専門性やスキルを載せます。

ヨガのパーソナルトレーナーであれば、
「✓シェイプアップヨガ」
「✓心を整えるヨガセラピー」
「✓ストレス解放ヨガ瞑想」
「✓カラダが硬い人のためのヨガストレッチ」
「✓ヨガインストラクター養成指導」
「✓ヨガの記事執筆&講演」
など、提供できる仕事内容を具体的に知らせることで仕事の依頼につながりやすくなります。

平凡な書き方では、なかなか目に留めてもらえません。

(3)メディア・SNS情報

自分の作品や成果物が載っているメディアや、自身のSNS情報を載せておきます。

公式サイト、ブログ、Facebookなど。
メルマガやLINE公式アカウントで情報発信している人であれば、それらのQRコードを載せておいてもいいでしょう。

名刺の完成度が高い人は「仕事の完成度も高そう」と思ってもらえます。

フリーランスというのは、一挙手一投足、その人の持ち物、服装、髪型、相手に渡すモノそのすべてが、相手にとっての判断材料です。

もちろん、名刺のデザインもプロにお願いするほか、印刷も印刷業者にお願いするなど、仕様面でも手を抜かないようにしましょう。