フリーランスのブランディング「旗」の作り方

「記憶に残る幕の内弁当はない」。秋元康さんの言葉です。

フリーランスが情報発信をスタートさせたのはいいが、なかなか認知されない、ファンが増えない、というケースがあります。

その原因のひとつが「旗が立っていない」というものです。つまり、印象にも記憶にも残らない「幕の内弁当」になってしまっているのです。

お蕎麦、お寿司、焼き鳥、スパゲティ、ラーメンなどのメニューを備える飲食店に「感動の味」を期待する人はあまりいないでしょう。メニューに「こだわり(専門性)」がないからです。

こういうお店は認知も口コミも起きにくいもの。もちろん、熱烈ファンが生まれる予感もしません。

一方、ラーメンを食べるなら、やはり「ラーメン屋」に特化したお店のほうが期待感は高まります。

もっと言えば、数種類のラーメンを出しているお店よりも、「とんこつラーメン」に絞ったお店のほうが、さらに言えば「博多っ子も黙る、秘伝の醤油とんこつラーメン」くらいに絞ったお店のほうが認知&注目されやすいものです。

この考え方がブランディングするときにも役立ちます。

例えば、あなたのSNSのプロフィール欄の肩書きに「フリーカメラマン」と書いていたとしましょう。この肩書きでは、強い認知は生まれません。なぜなら、世の中にカメラマンと名乗る人はゴマンといるからです。「フリーカメラマン」は極めて弱い「旗」です。

考えるべきは、「自分の見せ方」です。あなたがカメラマンとして秀でている点はどこにあるのでしょう?

・スナップを撮るのが得意
・風景を撮るのが得意
・プロフィール写真を撮るのが得意
・ブツ撮り(モノの撮影)が得意
など、自分の武器をより際立たせて「旗」を立てる必要があります。

①思わずヨダレが出る「おいしい料理撮影家」
②妊婦さんの「幸せ」を撮る誕生前祝福カメラマン

これは「旗」が際立った肩書きの一例です。

①は「おいしい食の写真を撮る」ことを「旗」に掲げています。しかも「思わずヨダレが出る」です。あなたが飲食店オーナーだった場合、メニュー用の写真を①のカメラマンにお願いしたくなりませんか?

②も印象的で希少性の高い「旗」です。
世の中に、赤ちゃんがいるお腹を撮影して欲しいというニーズがあるなら、この「旗」は「いい旗」です。「お腹の赤ちゃんとのつながりを写真に残そう」というキャッチコピーが似合いそうです。

フリーの弁護士はどうでしょう。

単に「フリー弁護士」と名乗るよりも「交通事故加害者専門の弁護士」や「ネット誹謗中傷トラブル解決弁護士」と「旗」を立てることで認知されやすくなるでしょう。

武器を際立たせることができれば、実績ある競合と比較されたときにも、選ばれる可能性が高まります。「旗を立てる=弱者の戦略」として有効です。

専門性を絞り込むことで技術とスキルも磨かれていきます。リピーターや口コミも発生しやすくなるでしょう。

「旗」を立てて情報発信をする効果

・見つけてもらいやすい
・認知されやすい
・ファンになってもらいやすい
・選ばれやすい
・口コミされやすい

なお、認知とブランド構築が進んできたら、「旗」を「ニッチ」から「マス」へと広げていくことは可能です。

ちなみに、稀に「旗」が弱くてもブランディングできてしまう人がいます。それは、圧倒的にキャラクターが立っているケースです。あなたに芸能人顔負けのキャラクターがあるなら、「旗」なしでブランディングできる可能性もゼロではありません。